長年お取引いただいている「マルヨシ醤油株式会社」の専務取締役、吉村一彦様に伺いました。
同社は昭和23年より醤油、味噌の醸造・製造・販売をはじめ、現在ではそれだけにとどまらず、醤油や味噌を生かした加工品や調味料、甘酒なども手がけている宗像市にある企業です。
「おいしさに“まごころ”を込めて」をモットーに、醤油の原材料である大豆はすべてNON-GMOのものを使用しているほか、地元産の大豆を100%使用してつくった商品など、地元を大切にしながら時代にあった商品開発などをされています。
弊社との出会いをお聞かせください。
マルボシさんとのおつきあいは、かれこれ50年以上になるでしょうか。先代の頃からなので何ともいえませんが、以前より私が聞いていたことは、私どもの会社が個人商店だった頃…昭和20年代か30年代初めか定かではありませんが、御社営業の方と先代の会長が初めてお会いしたそうです。
当時酢といえば、醸造酢ではなく酢酸を使った合成酢でした。ですから、酢を使用した製品をつくる場合は、純正のものではなく比較的安価な合成酢をつかうのが、どこの会社でも当たり前な時代でした。醸造酢はじっと熟成、発酵を待つ訳ですから、高価になるのは仕方がないのですが、現在のように「食」に対しての目も世間は違っていましたし…。こちらとしても味の追求はもちろんでしたが、醸造酢はまだまだ高級でしたし、高価で採算が合うものではありませんでした。しかし、確かな品質と味を見抜いた先代は、「今は無理ですが、かならず時期が来たら使います。」と約束をしたそうです。そのお約束通り、おつきあいが始まり、もうかれこれ50年以上になります。
このように長くおつきあいいただいているのは、なぜでしょう?
味についてはもちろんですが、変わらない品質でありながら、そこにあぐらをかかず時代にあった向上心を忘れていないことでしょうか。ちょっとしたことでも、よく相談にものってくれますし…
また、往々にして会社が成長してくると、小規模な会社にたいしてだんだん横柄になっていくものですが、全く変わらずおつきあいしてくださっているということは、有り難いです。会社の規模に関わらず、対応してくださる社風は本当に信頼出来ます。ですから、このように長くお取引ができているのだと思います。
入荷方法についても以前は18リットルくらいのポリ缶で仕入れていましたが、持ち上げるのは大変でした。女性が多い会社ですから、力の弱い女性にとっては大変な重労働でした。それが、今は1000リットルのタンクで蛇口をひねれば必要なだけの量が出せるようになりましたので、ずいぶん仕事がしやすくなりました。タンクも回収、洗浄していただき再利用しますから、廃棄する手間や経費も削減出来ます。
マルヨシ醤油の製品にどのようにお役立ていただいていますか?
ポン酢や焼き肉のたれなどに使わせていただいていますが、醸造酢だけでなく橙やかぼすといった柑橘もお願いしています。
たとえば、この『あおさの佃煮』ですが、この商品にもマルボシ酢が使われています。どのように使っているかは、企業秘密なので詳しくお教え出来ませんが、あおさとしての特徴を最大限に引き出すために御社の醸造酢が一役かっているというわけです。のりの佃煮ですが、あおさ独特の緑が生きていると思いませんか。酢の特徴である酸味は感じられませんが、このように商品の特徴を引き出すために酢の特性を生かし我が社との可能性を広げていっています。
今後、マルボシ酢にどのようなこと期待しますか?
弊社も醤油をつくる会社ですから、醸造物という点では同じですし、今後一緒に何かしていけたらと、漠然とですが思っています。
商品開発ももちろんですが、アイデアと経験、技術を持ち寄り、今までになかった発想で面白いことも考えていけたらいいですね。六次産業の開発も気になっているところです。